2026年6月16日(火)、地域活性化勉強会&交流会を開催しました。
今回の登壇者は、川越で空き家を再生し、温かな賑わいを生み出している株式会社80% 代表取締役の荒木 牧人さんです。
100%全力で頑張りすぎず「80%の力加減」でしなやかに街を楽しむという独自のスタイルや、身近に眠る「街の宝物」の再発見、そして川越・旧大工町で実践してきたエリアリノベーションの事例まで。情熱あふれるお話を、当日の熱量そのままにレポートします。
Part 2では、参加者全員による自己紹介タイムと、株式会社80%が川越・旧大工町で実践してきた「80%の力加減」で始めるエリアイノベーションについてお届けします。
地域活性化勉強会&交流会とは
荒木さん
本日は皆様一人ひとりの「狭山×自分の活動」「狭山への想い」を共有していただきたいと思います。順にお話しいただき、お互いの繋がりを深めていきましょう。
参加者全員が一人ずつ自己紹介を行いました。それぞれが想いを語り、初めて顔を合わせる方同士でも自然と会話が生まれる、和やかな時間となりました。
※各参加者のお話の内容は、本レポートでは割愛させていただきます。





荒木さん
皆様の熱いお話、本当にありがとうございます。ここからは私ども「株式会社80%(エイティパーセント)」が川越で実践してきた街づくりの事例をお話しさせていただきます。
株式会社80%は2016年12月16日に設立し、今年で10年目を迎えます。きっかけは川越市産業振興課が主催した3日間の「まちづくりキャンプ」でした。そこで意気投合した異業種の4人で立ち上げました。メンバーは、建築設計の私(荒木)、飲食経営の鈴木、リノベーション会社経営の田中、不動産会社2代目の松ヶ角です。私が一番年下だったため「荒木が代表ね!」ということで代表を務めています。
社名にある「80%」というコンセプトですが、私たちは昭和の時代のように常に100%・100点満点を目指してギスギス働くのではなく、「20%の余白(力を抜く部分)」を残すことでお互いを尊重し合い、楽しく持続可能な生き方を提案しようという想いが込められています。

荒木さん
川越は人口35万人の都市ですが、私たちは観光地全体を相手にするのではなく、観光の大動脈(本川越駅から札の辻)から少し外れた「旧大工町」という半径200mの狭小エリア(お鍋のおでんが冷めない距離)に特化して事業を展開しています。ターゲットは観光客ではなく、地元に住む私たち自身や地域住民の日常の豊かさです。裏テーマは「家族との時間を大切にする」です。
第1号案件は、昭和32~35年築のボロボロの「旧大工町長屋」でした。シャッターが閉じ、不動産価値ゼロと見なされ更地化・マンション化が検討されていた物件です。しかしオーナーのおばあ様が「思い出の詰まった建物を残したい」と願っておられました。そこで私たちが受託サブリース方式で借り受け、耐震補強を施してリノベーションしました。
全体事業費は937万円。私たちが持ち寄った自己資金は僅かでしたが、日本政策金融公庫さんから450万円、そして「地域に一番近い銀行から借りるべきだ」という公庫支店長のアドバイスで武蔵野銀行さんから100万円のご融資を受け、クラウドファンディングも併用しました。収支計画は5年償還で設定しましたが、結果として4年で完済することができました。
工事期間中は隠さず、透明なガラス越しにDIY施工の様子を「アリの観察」のように街に公開しました。すると市の産業振興課職員だった田畑さんがDIYにハマって休日ごとに手伝いに来てくれ、完成後は彼の実家である「たばちゃん農園」の畑へ店主が朝採れ野菜を直接仕入れに行く仕組みが生まれました。新河岸に住むふなはしわかさんが手書きの「A4見開きかわら版新聞」を作って配布してくれ、地域のお年寄りや若者が楽しみに読んでくれるようになりました。指示命令の階層構造ではなく、全員が「横一列」で関わるコミュニティの輪が広がったのです。
こうして誕生したのが、旬の食材と日本酒を提供する「すずのや」とコーヒースタンドです。続いて第2号案件として隣接長屋に250万円を投じ、24時間利用可能な「coworking space ダイクマチ」を開設しました。当時川越にはまだコワーキングスペースがなく、わずか1年で初期投資を回収できました。その後、時代の変化に合わせてシェアキッチンへと業態を柔軟に変化させています。
また、元うなぎ名店の店長だった田村さんが「地元の人に気軽にうなぎを食べてもらいたい」という情熱を持っていたため、長屋内にわずか8席のうなぎ居酒屋をオープンさせました。このように「その人にしか出せない情熱やストーリー」があるプロジェクトに限定して、私たちは手を貸し一緒に場を作り上げています。

