2026年5月26日(火)、地域活性化勉強会&交流会を開催しました。
今回の登壇者は、お隣の所沢市を拠点に、まちづくりのキープレイヤーとして多方面で精力的に活動されている一般社団法人まちつくり所沢 代表理事/株式会社ジモネット 代表取締役の平山 毅さんです。
街バル「ソラバル」や大型商業施設でのカフェ運営のリアルなお話、そして持続可能なシェアキッチン「椿峰(つばきみね)キッチン」の挑戦から、地域課題をアイデアで解決する小ワザ集まで。狭山をさらに盛り上げるヒントが詰まった情熱あふれるお話を、当日の熱量そのままにレポートします。
Part2では、ところざわサクラタウン「武蔵野樹林カフェ」の3年での撤退から学んだ「失敗学」と、その反省から生まれた持続可能なシェアキッチン「椿峰キッチン」の事業構造についてお話しいただきました。
地域活性化勉強会&交流会とは
平山さん
まちづくりの本格的な実践として、株式会社KADOKAWA様が主導する「ところざわサクラタウン」に隣接する武蔵野樹林カフェの運営を担いました。これは、サクラタウン進出に際してKADOKAWAの社員の方々に所沢を案内するバスツアーを企画し、最後に所沢の名物居酒屋「百味」にお誘いして、地元のキーマン約20名とサクラタウン関係者を引き合わせる見学ツアー&合コンスタイル飲み会を自ら企画して売り込んだことが縁で実現したプロジェクトです。所沢の地ビール「野老(やろう)ゴールデン」を手掛ける吉村英二さんとともにカフェ運営に臨みました。
カフェでは、狭山茶のオリジナルパッケージ商品を開発し、急須で淹れたお茶を提供するコト消費・体験型サービスや、地元の食材・カレー粉を使ったメニューを提供し、好評を得ました。しかしながら、当初5年の契約期間であったものの、結果として3年で撤退することになりました。店舗の裏手にあった「チームラボ」のどんぐり・球体展示が5年契約の途中で終了してしまったこと、サクラタウン全体の集客構造が変化したことが要因ですが、何より商業施設内におけるカフェ経営の難しさを痛感しました。
・カフェ業態のため客単価が低単価(1,000円前後)に留まり利益を確保しにくい構造であること。
・観光施設特有の現象として、平日は人が少ない一方で、休日になると名物の狭山茶肉まんが100個以上売れるなど需要が急増。狭い店内スペースで資材や食材を補給・保管する物流の負荷が極めて高かったこと。
・需要の波が激しい中でアルバイトの人員配置を適正化することが困難であり、平日はシフトを削り休日に多く入ってもらう調整など、人件費と雇用管理が大きな負担となったこと。
こうした実体験を通じて、思いや情熱だけで店舗を継続することの限界と、固定費や人件費を抑えた持続可能なビジネス構造の重要性を深く学びました。


平山さん
長年まちづくりに携わる中で、従来のパターン化した手法に対して強い違和感を抱いていました。ゆるキャラやB級グルメ、ただ地域名を冠しただけの安易な商品企画、あるいはマルシェやキッチンカー、子ども食堂といった手法そのものが目的化してしまうケースです。これらは熱意はあっても具体的な収益モデルがないため、持続性に欠けるという課題があります。また、自治会や町内会への参加強制のような、多忙な現役世代にとってハードルの高い仕組みも改善すべきだと感じていました。
まちづくりを一時的なイベントで終わらせず、長く続けていくためには、着実に利益を出し、事業として成り立つ「補給線」の確保が不可欠です。そこで私がたどり着いた答えが、現在運営しているシェアキッチン「椿峰キッチン」です。
このプロジェクトは、埼玉県内や全国各地の地域再生、狭山市駅前でも開催されている「彩の国マルシェ」のテントデザインなどを手掛ける建築家の藤村龍至さんとの出会いがきっかけでした。私自身が郊外ニュータウン育ちであることから、老朽化と高齢化が進む椿峰ニュータウンの再生に共鳴し、スタートしました。シェアキッチンという業態を選んだ理由は、カフェ経営での失敗を反省し、以下のような強固な事業構造を構築したかったためです。
・賃貸ではなく自社で物件を購入したため、家賃の支払いが一切発生せず、オーナー都合で撤退を余儀なくされるリスクも排除しました。
・レンタルスペースとして場を提供する形式のため、自社で食材を仕入れる必要がなく、常駐スタッフの人件費もかかりません。
・自らが飲食店を営業してリスクを負うのではなく、挑戦したい事業者から利用料をいただくストック型のモデルに転換しました。
「どうやったら大儲けできるか」を追うのではなく、「どうすれば失敗せず、倒れずに続けられるか」を徹底的に突き詰めた結果がこのシェアキッチンです。
