狭山茶の産地、狭山の奥富園(狭山市加佐志)で4月21日、今年初となる露地物の新茶の手摘みが行われ、新茶のシーズンを迎えた。同園の茶畑(約500平方メートル)では、「摘み子」たち約30人が、埼玉県の奨励品種「ふくみどり」の新芽を手で丁寧に摘み取った。
露地栽培は太陽の光をたっぷり浴びて育つのが特徴。春先に伸びてきた新芽を機械で摘み取ることが多いが、手摘みは茶の木にストレスを与えることなく、新芽だけを選び取るため、「味も濃く、香りも高い製茶として年に一度しか味わえない貴重なもの」になるという。この日摘まれた茶葉は手もみで製茶され、1週間ほどで同園のみで販売する。
摘み子は50年以上のベテランから初体験者までさまざま。年に一度の再会に喜びの声が上がる。40年以上摘み子を続ける91歳の原嶋トリ子さんは「みんなで作業できることがうれしい。新芽の柔らかい感触と香りが好き。これからも続けていきたい」と言い、今年初めて体験する20代の足立晴悟さんは「思ったより難しいが、お茶のことを知ることができて楽しい」と話す。
奥富園は約16種類の茶の木を栽培している。15代目園主の奥富雅浩さんは、生産から販売までを一貫して手がけ、2021年には全国茶品評会普通煎茶4キロの部で、1等1席(農林水産大臣賞)を受賞した。
今年の狭山新茶について、奥富さんは「春先からの天候も順調で茶葉が土の中の養分をしっかりと吸って期待できる品質になると思う」と話す。
狭山市では、新茶の試飲や茶摘みを体験できる「新茶まつり」(4月29日開催)を皮切りに本格的な新茶シーズンを迎える。